月別: 2016年2月

高浜原発1,2号機差止行政訴訟 訴訟提起のご報告

2月24日,運転開始から40年を迎える高浜原発1,2号機について,原子力規制委員会が新規制基準に適合していると「審査書案」を了承したことを受けて,愛知県や福井県などに住む市民を中心に,同原発について今後出されるであろう設置変更許可及び運転期間延長認可に対して,これら許認可をしてはならないという差止め訴訟及び仮の差止め申立てを行うことになりました。

【裁判の概要】

 ・対象原発  : 高浜原発1,2号機

 ・訴訟手続き : 行政訴訟

     (処分の対象)設置変更許可,運転期間延長認可を予定

     (訴訟類型) 上記処分の差止め訴訟,仮の差止め申立て

 ・提訴裁判所 : 名古屋地方裁判所

 ・提訴予定時期: 平成28年4月中

 ・訴訟名称 

TOOLD40「高浜原発40年廃炉・名古屋訴訟

             ~ デンジャラス原発にレッドカードを!~ 」

【本提訴の意義】

 福島原発事故から間もなく5年が経過しようとしています。福島原発事故により,それまでの安全神話が崩壊したことが明らかになりました。原発の事故の深刻さや長期間かつ多様かつ広範囲に及ぶ被害の深刻さは,誰もが,二度と原発事故を起こしてはならないと実感したはずでした。しかしながら,その後も政府や電力会社,地元地自体等は,原発を再稼働させ,福島原発事故がなかったかのように,再び再稼働に突き進んでおります。

(老朽化原発は危険すぎること)

原発は根本的に危険ではありますが,老朽化した原発はもっと危険です。福島原発事故後,運転開始から原則40年で廃炉させるという「40年ルール」は政府が決めたことです。運転延長することは「例外中の例外」とされていたはずでした。

ところが,今まさに「40年ルール」でさえも形骸化されようとしています。私たちは,老朽化原発や旧式の原発は最も危険な原発であるという危機意識のもと,運転開始から40年を越えて運転されようとしている高浜原発1,2号機に対して,許可処分等の差止め等の裁判を提起することを決意しました。

(最初の行政訴訟であること)

原子力規制委員会は何ために発足されたのでしょうか。原子力規制委員会の杜撰な審査は,福島原発事故を十分に反省しているとは到底いえません。今回の裁判は原子力規制委員会を相手とする行政訴訟です。原子力規制委員会の意義と審査の是非を真正面から問うために行政訴訟をすることにしました。福島原発事故の多くの原発を対象に裁判が提起されてきましたが,いずれも民事訴訟であることからこの点にも大きな意義があるといえます。

(名古屋で提起ことの意義)

愛知県では,これまえ原発差止め関係の訴訟はこれまで行われてきませんでした。しかしながら,高浜原発と名古屋は100数十キロしか離れておらず,また,偏西風の影響を考えると,被害を受ける圏内に位置しています。名古屋経済圏である岐阜県,三重県についてはさらに近く,高浜原発で過酷事故が起こった場合には,名古屋は大きな影響を避けられません。東海地区の住民は,もっと原発事故に対して当事者意識をもつ必要があるといえます。

【原告団及び弁護団概要】

 ・原告  : 愛知県岐阜県三重県及び福井県の住民を中心に日本全国の方を対象

 ・弁護団 : 北村 栄(団長),藤川誠二(事務局長),鹿島啓一,中野宏典,

甫守一樹,小島 寛,兼村知孝,中川亜美

(問い合わせ先) 藤川法律事務所 0568-37-2282(藤川)