6/20アピール「40年超え老朽高浜原発1・2号機延長認可に抗議します!」

高浜原発40年廃炉・名古屋行政訴訟を支える市民の会」アピール

40年超え老朽高浜原発1、2号機延長認可に抗議します!

 2016年6月20日

 

東京電力福島第一原発事故という取り返しのつかない事件を起こしてようやく、原発が抱えるそもそものリスクの高さに加えて老朽化の危険から、国の原発規制には、原則40年で廃炉にする「40年ルール」が定められました。

これに従い、高浜原発1、2号機、美浜原発3号機を除き、40年に満たない伊方原発1号機も含めて老朽原発の廃炉が次々と決定される中、関西電力は、出力が大きく収益が見込めるとしてそれら3基の再稼働・延長申請を行い、このうち高浜原発1、2号機について原子力規制委員会は、耐震試験は認可の後でも良いと認めるなど驚くべき審査で、本年4月20日には、その設置変更許可、6月10日には工事計画を認可、そして本日、老朽化に係る運転期間延長も認可してしまいました。

私たち高浜原発40年廃炉・名古屋行政訴訟を支える市民の会は、このような老朽原発に対する国の原子力規制の在り方を正面から問う同訴訟の原告・サポーターの集まりで、訴訟を支え、老朽原発廃炉を目指しています。

先の設置変更許可についてのパブリックコメントでは1ヶ月間で606件の意見が寄せられ、最も多かったのは、原子炉が長年に渡って放射線を浴びてもろくなり緊急停止などの急速な温度変化に耐えられない恐れがあることを指摘する意見だったそうですが、原子力規制委員会は、老朽化についての審査は別に行っているとして明確な回答をしませんでした。

ところが、その老朽化についての今回の延長認可は、パブリックコメントさえもしないとのことです。市民の意見も聞かず、疑問に応えようとしないのは、「原子力規制委員会の組織理念」(2013.1.9)※1の「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める。」に反します。

本年6月16日には元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦さん(東京大名誉教授・地震学)が、原発で考慮する地震の震源の大きさの計算で、垂直や垂直に近い断層面を持つ活断層に入倉・三宅式を使うと過小評価の恐れがあり、そのような活断層は西日本に多く、熊本の地震で得られた精度の高いデータからも入倉・三宅式では再現できないことが明確になったとして、大飯原発や高浜原発、玄海原発について、地震の震源の大きさの計算をやり直すべきであるとの内容を原子力規制委員会の田中俊一委員長らとの面談で説明されました。田中委員長は、新しい知見を取り入れるとなるとそれなりに評価されたものが必要なので学会で努力をしてほしいなどとおっしゃいましたが、2002年の国の地震調査研究推進本部の長期評価で日本海溝のどこでも大きな津波地震が起こりうるとの評価があり、また貞観津波の知見もありながら、対応を怠った東京電力福島第一原発事故の教訓はどこへ行ってしまったのでしょうか。

私たちは二度と原発事故の被害者にも加害者にも傍観者にもなるわけにはまいりません。

世論調査では、原発再稼働反対が常に多数です。原発の規制に厳格な審査を世論が求めているのは当然です。ましてや老朽原発には厳しい目が向けられています。2015年9月12、13日に実施された日本世論調査会による世論調査※2では、原発の運転期間をどうするべきかの問いに対して、「40年で例外なく廃炉にするべきだ」が47.8%、「40年よりも短くするべきだ」が24.6%、「現行通り、規制委が認めれば延長してもよい」は21.5%でした。

伊方原発最高裁判決も、深刻な原発災害が万が一にも起こらないようにするために審査を行うのが法の趣旨だと述べています。

東京電力福島第一原発事故のように、憲法で保障された生存権、人格権、財産権、教育権、居住・移転・職業選択の自由、労働権などが原発事故によって奪われるようなことは決してあってはならないからです。

原子力規制委員会が40年超え老朽高浜原発1、2号機の延長認可を行ったことに対し強く抗議いたします。

※1
原子力規制委員会の組織理念
平成25年1月9日原子力規制委員会の組織理念
http://www.nsr.go.jp/data/000069078.pdf

※2
原発に関する世論調査詳報 再稼働や老朽化問題問う
2015年9月20日 09:57 フクナワ
http://fukunawa.com/fukui/3891.html

 

高浜原発40年廃炉・名古屋行政訴訟を支える市民の会
〒460-0002 名古屋市中区丸の内2丁目18番22号
三博ビル5階 名古屋第一法律事務所 内
TEL :080-9495-9414(事務局)
e-mail:toold40citizens@gmail.com

160620抗議アピール


地元福井、関西、岐阜、九州、首都圏の老朽原発の問題に取り組む市民グループとともに、以下のような共同声明も発表しました。

 

 

 2016年6月20日

 

共同声明 40年超え老朽炉を廃炉に!

高浜原発1・2号機の運転期間延長認可に抗議

 

本日(6月20日)、原子力規制委員会は、関西電力高浜原発1・2号機について、40年超えの運転期間延長認可を下しました。福島原発事故後、運転期間を原則40年に制限する制度が導入されたあと、延長の認可がだされた初めてのケースになります。私たちはこれに強く抗議します。

老朽炉の寿命延長に対し、これを危惧する声が広がっています。しかし、審査の公開資料は白抜きだらけで、第三者による検証はできず、初の寿命延長審査にもかかわらずパブリックコメントも実施せず、住民や市民、自治体等の意見を聞こうともしませんでした。6月13日、私たちは、熊本地震によって懸念された「繰り返しの揺れ」問題などの評価について、国会議員の仲介により、会合を申し込みましたが、原子力規制庁は「多忙」を理由に異例の拒否。6月15日には要請書の受け取りすら拒否しました。老朽炉の危険性を具体的に批判され、それが公になることを恐れたからでしょう。このように、議論を避け、密室審査を続ける姿勢に怒りを禁じ得ません。被害をこうむる住民の意見を無視するなど到底許されることではありません。

福島原発事故を受けて、原発の運転期間は「原則40年」と決めたはずです。原子力規制委・規制庁はこともあろうに、老朽化した原発の実態も把握せず、認可ありきで審査を急ぎ、審査ガイドを破ってまで、期限内の認可を強行しました。福島原発事故の教訓を葬り去り、事故を再び繰り返すことは断じて許されません。

地震の活動期に入り、巨大地震がいつどこで起きてもおかしくない状況で、設計が古く、設備の劣化が進み、点検も不十分な状況で認可するなど、危険極まりない行為です。

高浜1・2号の耐震性が不十分なことは、熊本地震に照らしても明らかです。熊本地震のようなくり返しの揺れを考慮した耐震評価は実施されていません。

元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦氏は、熊本地震のデータから、「入倉・三宅式」を用いて基準地震動を策定すると過小評価となり、日本の地震データを基にした「武村式」と比べて4分の1の過小評価となるため、「入倉・三宅式」は使うべきではないと警告を発しています。これはまさに高浜1・2号に当てはまる問題です。同時に、各地の裁判や運動の中で、市民が主張してきたことでもあります。規制委・規制庁は16日に島崎氏から意見聴取を行いました。しかし、その警告を無視するかのように高浜1・2号の運転延長を認可しました。

老朽化した高浜1・2号の特有の危険性が具体的に明らかになっています。電気ケーブルの劣化により事故時に絶縁性が急低下し、制御ができなくなる恐れがあります。しかし、規制委・規制庁は具体的な判断基準も持たずに、関電のいいなりです。

高浜原発1号機は、全国の原発でもっとも原子炉圧力容器の中性子による脆性破壊が発生し易い原発です。廃炉が決まっている玄海原発1号より脆性遷移温度は高く、事故時にECCSの水を注入すれば、圧力容器が壊れる危険があります。やはり中性子の照射により炉心の金属板を留めるボルトにひび割れが生じている恐れがありますが、まともに検査すら行われていません。

さらに、熊本地震が示したように、「屋内退避」を中心とした規制委の指針では、住民の安全を守ることはできません。

40年超えの危険な運転延長は認められません。高浜原発1・2号機は、認可を取り消し、直ちに廃炉にすべきです。

 

<17団体> 福井から原発を止める裁判の会/高浜原発40年廃炉・名古屋行政訴訟を支える市民の会/ふるさとを守る高浜・おおいの会/避難計画を案ずる関西連絡会/脱原発はりまアクション/おおい原発止めよう裁判の会/3.11ゆいねっと京田辺/原発なしで暮らしたい丹波の会/脱原発わかやま/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜/川内原発30キロ圏住民ネットワーク/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/国際環境NGO FoE Japan/福島老朽原発を考える会/原子力規制を監視する市民の会

 

<連絡先> 原子力規制を監視する市民の会TEL:03-5225-7213 090-6142-1807(満田)

住所:東京都新宿区下宮比町3-12明成ビル302

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