福島第一原発事故に全く学ぶことなく、危険な老朽化原発が再稼動されようとしています!

私たちの多くは,遅きに失しましたが,福島第一原発事故が起きて,ようやくにして,原発の危険性を実感したのだと思います。私たちが学んだのは,福島第一原発だったから事故が起きたのだということではなく,全ての原発が抱える,人間には制御することのできない原発の危険性であり,全ての原発で福島第一原発事故と同じような,もしくは福島第一原発事故を超えるような事故が起きるかもしれない,ということだと思います。このような意味で,いかなる原発の再稼働も許されず,全ての原発を廃炉にすべきであると考えます。

ただ,私たちが今回,他の原発ではなく,高浜原発1,2号機を対象にした訴訟を起こすことにしたことには理由があります。

福島第一原発事故においては,福島第一原発が古い原発であったことが事故の一因となった可能性が指摘されています。原発も他の機械と同様、古くなれば劣化も進みますし、拠って立つ技術水準自体がだいぶ遅れたものになってしまいます。言うまでもなく、古い原発は、新しい原発よりも基本的に危険なのです。そのことを踏まえ、福島第一原発事故後、原発は原則40年で廃炉にする「40年ルール」が定められました。

高浜原発1,2号機は、運転開始から既に40年を超えている原発であり,廃炉が決まっていない原発の中では最も古く,最も危険とさえ言い得るような原発です。高浜原発1,2号機は、運転開始から既に40年を超えていますが,法律改正の経過措置によって平成28年7月7日までに運転延長の認可が出なければ,廃炉にしなければなりません。

このような危険な原発を廃炉にすることは当然のことと言えますが,関西電力は,臆面もなく,高浜原発1,2号機の運転延長の認可申請を行い,原子力規制委員会での審査も杜撰なままに,運転延長認可がなされようとしています。このように,古く,危険な高浜原発1,2号機の再稼働を認めることは,福島第一原発事故に全く学んでいないと言うに等しく,決して許されるものではないと思います。高浜原発1,2号機の再稼働を許すときは,原子力規制委員会の審査の形骸化がいっそう進み,他の原発の再稼働にも全く歯止めがかからなくなるおそれすらあると考えます。

他方,高浜原発1,2号機を廃炉に追い込むことができれば,脱原発に向けた大きな一歩を踏み出すことになると思います。

最初の本格的な行政訴訟

福島第一原発事故をきっかけとし、規制機関としての本分を忘れて「事業者の虜」になっていた規制当局の体たらくが明らかになりました。その反省から法改正が行われて保安院や原子力安全委員会が解体され、原子力規制委員会が誕生したはずでした。

ところが、原子力規制委員会が行っている適合性審査の状況を見ると、福島第一原発事故を十分に反省し、国民の生命、身体と環境を守るという責務を果たしているとは到底思えません。

全国で行われている原発訴訟は、規制委員会が発足する前に提起されたものがほとんどであるために、規制委員会の審査が福島第一原発事故の反省を十分に踏まえられていないことを正面から問うための本格的な行政裁判は、まだ行われていません。

現在行われている適合性審査が、福島第一原発事故の反省のない違法な審査であることを、正面から裁判所に認めさせましょう。

名古屋で原発裁判を行う意義

愛知県には原発が立地していないこともあり、名古屋地裁では原発差止め関係の訴訟はこれまで行われて来ませんでした。

しかし、原発再稼働を食い止めて未来世代への責任を果たすための戦いを、原発立地地域だけに押しつける訳にはいきません。東京地裁でも、大阪地裁でも、脱原発裁判は係属しています。大都市には、地方にはない大きな力があります。

それに、高浜原発と名古屋とでは、100km余りしか離れていません。偏西風の影響を考えると、もし高浜原発で大事故が起きれば、名古屋まで子供達が安心して暮らせない町になる可能性も十分にあるのです。

未来を守るための輝かしい勝利を、名古屋で一緒に勝ち取りましょう。