老朽高浜原発1・2号機の再稼動に抗議する声明

7/19に40年廃炉訴訟市民の会と弁護団で「老朽高浜原発1・2号機再稼働に抗議する
声明」を発表しました。
記者レク写真など
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https://twitter.com/densupp/status/1682778926895202304
<NHK 東海 NEWS WEB>
高浜原発再稼働方針に原告・弁護団が抗議 名古屋
07月19日 21時31分
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20230719/3000030563.html

⽼朽⾼浜原発1・2号機の再稼働に抗議する声明

関⻄電⼒株式会社(以下「関⻄電⼒」という。)は、福井県に設置する⾼浜原発1・2号機(運転開始:1号機・1974年11⽉14⽇、2号機・1975年11⽉14⽇。以下「本原発」という。)について、1号機を本年7⽉28⽇にも再稼働する⽅針を⽰した。また、2号機も9⽉15⽇に再稼働させる⽅針を⽰している。

本原発は、運転開始から50年近い⽼朽原発である。そして、後述の通り、本原発は⽼朽化による本質的危険性を孕む原発である。本来ならば、原発の運転期間を原則40年と定め、⼀度に限り例外的に20年まで延⻑できるとした原⼦炉等規制法の「40年廃炉ルール」の趣旨に従って廃炉とするべき原発であった。

「40年廃炉ルール」の⽴法事実として、東京電⼒福島第⼀原発事故(以下「福島原発事故」という。)で最初にメルトダウンした1号機がまもなく運転開始40年を迎える⽼朽原発だったことがある。同事故では、⽼朽化が被害の発⽣拡⼤の⼤きな要因となったことが指摘されている。「40年廃炉ルール」は、取り替えが困難な原⼦炉容器やケーブルの劣化やプラントの型式の旧さ、劣化管理の困難さ、建設当初からのプラント毎の事情を把握する熟練技術者の喪失等、避けることのできない⽼朽化の本質的な問題を踏まえて制定されたものであった。

しかし、今年5⽉、原発の60年を超える運転を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が成⽴し、上記のような福島原発事故の教訓を踏まえて定められたはずの「40年廃炉ルール」は実質的に廃⽌されてしまった。

そして、GX脱炭素電源法はその成⽴過程で多くの批判があったにもかかわらず、関⻄電⼒は、同法が成⽴したこのタイミングで、本原発を再稼働させようとしている。

私たちは本原発について2016年4⽉に運転期間延⻑認可等の差し⽌めを求めて(同年6⽉の認可処分後、訴えを取り消しに変更)、名古屋地裁に提訴した。

この裁判上、原⼦⼒規制委員会が、原⼦炉容器の劣化を評価する審査において、関⻄電⼒の申請書の記載を鵜呑みにして監視試験⽚の原データを確認していなかったことが判明した。また、関⻄電⼒は、その試験⽚も⺟材由来の⾦属と溶接⾦属由来の⾦属とを約10年ごとに交互にしか試験しておらず、直近では⺟材⾦属については試験を実施すらしていなかったことや、試験⽚⾃体も現在の規格に適合しないものであることなどが明らかになった。

そもそも、劣化審査に⽤いられる監視試験⽚は、装荷された数が極めて少ない上に、数の少なさを補うために⽤いられている⽇本独⾃の評価⽅法にも問題のあることが、最新の知⾒で明らかになっている。

このような⽇本における脆化予測の問題点は、本原発1 号機において、⾼経年化技術評価書30年⽬の予測と、40年⽬の予測が、同じ運転開始から60年後の予測であるにもかかわらず⼤きな違いが⽣じ、かつ、⼤きく危険側にシフトしていることに端的に裏付けられている。

そして、この裁判に意⾒書を提出した専⾨家のグループによれば、本原発1号機について適切に評価をやり直すと、60年後の予測では原⼦炉容器の健全性が保てないとの指摘がある。

このような原⼦炉容器の劣化の問題は⽼朽原発の問題の⼀例に過ぎない。

原発に⾎管のように張り巡らされたケーブルは、その劣化による事故時の急激な絶縁抵抗の低下による影響が指摘され、本来必要な難燃性ケーブルへの取り換えも全⾯的にはされないまま、稼働がされようとしている。

また、本原発には、⽼朽化の他にも、地震や⽕⼭の影響評価の誤りや使⽤済み核燃料の⾏き先がないことなど深刻な問題を多数抱えている。

本原発で事故が起きれば、⽴地地域のみならず、京都や滋賀、⼤阪、兵庫の関⻄圏、そして偏⻄⾵の⾵下である岐⾩県、愛知県、三重県など中京圏にも放出された放射性物質が拡散し、深刻な被害が予想される。仮に、⽼朽化により劣化した原⼦炉容器が事故により破損すれば、福島原発事故以上の被害をもたらす可能性もある。

国と関⻄電⼒は、本原発の再稼働に関して県⺠や国⺠の理解を得るなどとしながら、その妥当性や信頼性を担保するための説明と情報公開も尽くさず、周辺住⺠の不安や反対の声を置き去りにしている。

私たちは、国及び関⻄電⼒に対し、⽼朽化した本原発の再稼働を推し進めることに強く抗議する。そして、関⻄電⼒に対して、本原発を再稼働をしないよう強く求める。

2023年7⽉19⽇

⽼朽原発40年廃炉訴訟弁護団

⽼朽原発40年廃炉訴訟市民の会


高浜1.2号機再稼働抗議声明(20230719

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